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Next.jsで実装する郵便番号検索アプリケーションの開発過程


この記事はZennでも公開しています。

はじめに

この記事では、郵便番号から住所を検索する Web アプリケーションの開発過程について解説します。Next.js を使用し、2 つの異なる実装アプローチを試みた経験を共有します。

プロジェクトの背景

郵便番号検索は、多くの Web アプリケーションで必要とされる基本的な機能の一つです。このプロジェクトでは、以下の点に注目して開発を行いました:

  • モダンな Web 技術の活用
  • 異なるアーキテクチャパターンの比較
  • 実用的な API の設計
  • 開発環境の最適化
  • オフラインでの動作

使用技術

コア技術

  • Next.js 15.3.2
  • TypeScript
  • Tailwind CSS
  • Node.js

開発環境

  • Docker
  • VS Code
  • Dev Containers

データ処理

  • CSV Parser
  • Iconv-lite(文字エンコーディング変換)

開発過程

1. データ変換スクリプトの作成

まず、郵便番号データ(KEN_ALL.CSV)を扱いやすい JSON 形式に変換するスクリプトを作成しました。

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interface ZipCodeData {
  zipCode: string;
  prefecture: string;
  city: string;
  street: string;
}

このスクリプトでは以下の処理を行います:

  • Shift-JIS エンコーディングの処理
  • CSV データのパース
  • 必要なフィールドの抽出
  • JSON 形式への変換

2. 実装バージョンの比較

1st Version(Next.js + React)

  • Next.js の App Router を使用
  • React コンポーネントによる UI 実装
  • クライアントサイドでのデータ処理
  • Tailwind CSS によるスタイリング

3rd Version(Next.js + Web API)

  • Next.js の API Routes を使用
  • フロントエンドとバックエンドの分離
  • RESTful API によるデータ提供
  • シンプルな HTML/JavaScript クライアント

3. Docker 環境の構築

開発環境の一貫性を保つため、Docker を使用した環境を構築しました:

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version: "3.8"
services:
  app:
    build: .
    ports:
      - "3000:3000"
    volumes:
      - ./zipcode-app:/app/zipcode-app
      - /app/zipcode-app/node_modules

実装の詳細

API エンドポイント

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// GET /api/zipcode?q={query}
interface ZipCodeResponse {
  results: {
    zipCode: string;
    prefecture: string;
    city: string;
    street: string;
  }[];
}

クライアントサイドの実装

1st Version では、Next.js の App Router を使用し、リアルタイムサジェスト機能を実装しました。3rd Version では、シンプルな HTML/JavaScript クライアントを作成し、API と通信する実装を採用しました。

学んだこと

  1. アーキテクチャの選択

    • モノリシックとクライアント・サーバーの比較
    • それぞれのメリット・デメリットの理解
  2. パフォーマンス最適化

    • データ処理の最適な場所の選択
    • キャッシュ戦略の検討
  3. 開発環境の重要性

    • Docker による環境の統一
    • Dev Containers の活用

今後の改善点

  1. エラーハンドリングの強化
  2. パフォーマンスの最適化
  3. テストの追加
  4. キャッシュ機能の実装
  5. セキュリティの強化
  6. レスポンシブデザインの改善

オフライン対応の検討

1. 現状の実装

現在のプロジェクトでは、以下の実装を採用しています:

  • Next.js の API Routes を使用したサーバーサイド実装
  • クライアントサイドでのリアルタイム検索
  • JSON データのサーバーサイドでの保持

2. オフライン対応の可能性

将来的なオフライン対応として、以下の実装が検討できます:

メリット

  • ネットワークリクエストが不要になり、検索速度が向上
  • インターネット接続が不安定な環境でも使用可能
  • サーバー負荷の軽減
  • プライバシーの向上

実装案

  1. Service Worker の導入

    • アプリケーションのキャッシュ
    • オフライン時のフォールバック
  2. IndexedDB の活用

    • 郵便番号データのローカル保存
    • クライアントサイドでの検索処理
  3. データ同期の仕組み

    • 定期的なデータ更新
    • 差分更新の実装

3. 注意点

  • 初期データのダウンロードが必要
  • ストレージ容量の制限
  • データの更新管理
  • ブラウザの互換性

まとめ

このプロジェクトを通じて、同じ機能を異なるアーキテクチャで実装する経験を得ることができました。Next.js の柔軟性と、モダンな Web 開発のベストプラクティスを学ぶ良い機会となりました。

参考リンク

This post is licensed under CC BY 4.0 by the author.